近年のマツエク事情において欠かせないのが、美容室の積極的なマツエクメニューの提供です。
流行当初は多かった美容室のマツエクメニューの提供。
一旦は盛り下がったメニュー提供ですが、近年は再度クローズアップされてきています。
以前の欠点を改善できたのか?背景事情と合わせて解説します!
マツエクメニューの流行当初は、多くの美容室がマツエクメニューを導入していました。
◆技術面の差
ただ、美容師免許を保持しているというメリットに重点を置きすぎたため、技術習得が厳かになる傾向が多くありました。
ヘアメニューと並行して日々業務を遂行する事もあり、マツエクの技術は片手間で覚えていけるほどのものではない為、専門店に比べて技術力の差が大きな障害となりました。
また来店人数も専門店に比べてはるかに劣り、継続性が少ないため、技術の向上スピードも遅く、専門店との技術面の差が生まれてしまいました。
◆ラインナップの差
加えて、当初はマツエクの毛質もミンクやセーブルなどの毛質の選択もなく、シルクのみといった状況となっており、太さ・長さ・毛質などマツエクの種類が増えていくことにより専門店のラインナップの差も生まれました。
来店数をベースに考えた場合、少ない集客に対しては在庫を抱えるリスクも高まるため、どうしても、グルーの種類、マツエクの種類、あらゆる面での商品ラインナップの差が生まれてしまいます。
◆価格面の差
加えて最も大きかったのが価格面です。
美容室のマツエクメニューは、非常に高い料金設定が一般的でした。
◆専門店に比べて来店人数が少ないために単価UPが必要であったため…
◆メイン業務がヘアメニューの為、マツエク業務は単価を上げて利益を出す必要があるため
◆そもそも市場価格を正確に把握できていなかったため…
などといった様々な背景事情により、美容室のマツエクメニューは専門店より高く、場合によっては倍近い金額といったケースも多くありました。
◆プライベート空間の差
美容室でのマツエクメニュー提供の大きな障害は、プライベート空間の確保です。
マツエクサロンはネイルなどとは異なり、比較的静かな環境下で私語も少ないのが特徴です。
出来る限り静かなプライベート空間でゆったりと施術を受けるのがお客様の希望となりますので、美容室内にて同空間を確保する事が難しいといわれていました。
その為、通常のカット面にてベッドを置くという簡易な施術スペースにてメニュー提供するケースも多く、施術空間の大切さにおいても差が生じておりました。
マツエクユーザーも徐々に選択する幅が広がってきたため、
@専門店ならではの豊富なラインナップがあるサロン
A施術の経験人数が多い高技術サロン
Bより安く利用できる通いやすいサロン
C落ち着いたプライベート感のあるゆったりサロン
といった具合で、サロンを選択する傾向が強まりました。
マツエク専門店の側も、より専門店であることのメリットを訴え、
◆専門店ならではの種類が豊富◆
◆経験豊富なアイリスト◆
◆リーズナブルな価格設定◆
◆ゆったりチェアで寛ぎながらの施術◆
といったPRを積極的に打ち出してまいりました。
結果、美容室におけるマツエクメニューの提供は、一旦は下火となって専門店やネイルサロンとの併用が多く乱立する状況が続いておりました。
一旦下火となって、マツエク専門店の施術がスタンダードとなっていたマツエク業界に、今なぜマツエクメニューを提供する美容室が増えているのでしょうか?
理由は多岐にわたります。
@1つ目は、美容室の多様化の一環であると思われます。
昔と違い美容メニューが多様化し幅広いものとなった今、美容室もヘアーのみに限らず様々な美容メニューにアンテナを張って柔軟に取り入れていくという必要性があります。
以前はヘアーに特化すればよいと考えていた経営者も、お客様の求めている美容法をできる範囲内で幅広く取り入れていく必要性があります。
その為、以前よりもより柔軟にマツエクメニューを取り入れていくことが可能となってきた部分はあるのでしょう。
A2つ目はやはり時間の経過とともに、マツエクメニューを熟知する美容室が多くなってきたことでしょう。
美容師仲間・専門学校の仲間など、マツエク業界に関わるネットワークから得られる情報から、より柔軟にマツエクメニューを考えることができるお店が増えていると思われます。
それにより、上記の流行当初に生じた専門店との差を少しづつ改善し、マツエクメニューの提供に成功する美容室が増えてきたという背景があります。
具体的には、
◆専門店に負けないくらいのラインナップを揃える
◆スクールを利用し、技術習得に重点を置く
(中には美容室でアイリストさんを雇うという以前にはなかったケースも多々あります。)
◆市場価格に見合った価格を設定する
◆仕切りを付ける、あるいは個室空間を付ける事でメインスペースとの隔離をする事でプライベートな空間を演出する
といった改善を進めてきた美容室さんが多くなってきました。
B3つ目は最も大きい部分と思われるアイリストの確保です。
美容室によっては、専門のアイリストを雇ってマツエクメニューを提供するケースも多くありますが、多くは美容室のスタッフによる施術です。
現在、マツエク業界はアイリストの慢性的な不足が問題となっています。
マツエク専門店は、規模に応じて、アイリストの確保が必要となりますが、アイリストの不足により、中々人数が確保できない状況が続いています。
また離職率も高く、習得した技術も継続性が乏しいことも多く、育てる時間と労力も大きな問題となります。
一方で美容室は、美容師免許を保持したスタッフが常時一定数存在します。
離職率が低い美容室などでは、既に在籍するスタッフのマツエク技術習得へと資金援助もする事が可能となりますので、新たに物件を借りてスタートする事もなく、低リスクでメニュー提供を準備する事が可能となります。
人材確保のリスクが少なく、新規投資という形での資金の準備リスクも少なく、ランニングコストといった部分でも広告や人件費・テナント代がヘアメニューと共有する事ができるため、全体的にリスクを少なく美容室にてマツエクメニューを提供する事が出来るようになったのです。